製作:Lily Film, 2004年
日本語製作:日本有機農業研究会科学部
日本語製作協力:株式会社グループ現代
日本語版編集:株式会社アクエリアム
製作賛同:多くの個人と団体の皆さん
デボラ・クーンズ・ガルシア
監督、脚本家、プロデューサー
デボラ・クーンズ・ガルシアは、チャペルヒルにあるノース・キャロライナ大学の学生だった1970年にボレックス(撮影用カメラ)を初めて手にし、映画作りにとり憑かれてしまった。その後サンフランシスコ芸術大学で芸術修士を取得している。
ジェーン・アレクザンダーがナレーションを務めた教育シリーズ「赤ちゃんのすべて(All About Babies)」は、シネ・ゴールデン・イーグル賞とジョン・ミュアー・メディカル・フィルム・フェスティバルで金賞を受けるなど多くの賞を受けている。彼女の長編映画「ポコ・ロコ」はヴァラエティ誌によると「おだやかな恋愛ファンタジーとして楽しめる」もので、フィラデルフィア、リバータウン、オーランドの各映画祭で賞を受けている。 彼女の夫ジェリー・ガルシアとディビッド・グリスマンの友情を描いたミュージカル映画「Grateful Dawg」は、彼女が映画にしようと言い出し、自ら製作コンサルタントを 務めたもので、これがテルリド映画祭で封切られ、その後映画祭やテレビで何度も放映されている。 「食の未来」は、2004年3月の選挙前に制作中ながら十数回カリフォルニアのメンドシーノ郡で上映され、郡内での遺伝子組み換え作物の栽培禁止法案Hを通過させる原動力となった。アメリカ国民がこの重要な問題で投票を行ったのは、これが初めてのケースとなった。「食の未来」の制作に携わった全員が実社会で強い影響を与えられたことを大変光栄に思っている。この“無謀なプロジェクト”の“成功”は、人と人とのつながりがもたらしたものに他ならない。偶然紹介された(株)グループ現代との出会いがなければ、日本語のシナリオを持って、まだうろうろとしていたに違いない。新宿御苑のユリノキが満開の頃、不安な気持ちを持ってグループ現代の事務所に出かけた。応対していただいた小泉会長は、1970年代初めにできたばかりの有機農業研究会と接点があり、始めたばかりの新潟の有機農家の農産物と神奈川県の消費者につないだという。これも人と人の“縁”だったのだろう。そうしてこの日、技術的にはまったくの素人たちに希望の火が灯ったのだった。
しかし、問題は山積していた。制作費の調達、吹替えの声優さんをどうするか、原文の微妙なニュアンスを日本語でどう表現するかなど、後から後からやむことなく湧いてきた。結局、英語と日本語の違いの問題は最後まで残り、吹替えの現場まで持ち越されてしまった。
「グループ現代」の名を知らなくても、『センス・オブ・ワンダー』や『自然農 川口由一の世界』などのドキュメンタリー映画を知る人は多いだろう。こうした、人々の目線で描かれたいくつものドキュメンタリー映画を作ってきたのが1967年設立のグループ現代である。2006年3月には、青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場をテーマとしたドキュメンタリー映画『六ヶ所村ラプソディー』が公開されている。
グループ現代のプロデュサー川井田さんは、決して「ダメ」とはおっしゃらなかった。部分吹替えか全面吹替えか、二転三転した日本語版製作の方針にも、きっとあきれられていたに違いないが、最後まで対応していただいた。
ディレクターの小久保さんも、根気強く付き合ってくれた。吹替えの当日、その現場で文章を巡って議論を始める科学部のメンバーに、イライラを抑えて臨機応変、適切なアドバイスをいただいた。
こうして、手を抜くことなく最後までプロの仕事によって『食の未来』日本語版は陽の目を見ることがことができたのだった。
低予算のこの日本語化を引き受けていただいたグループ現代の小泉会長、プロデュサー川井田さん、ディレクターの小久保さんには、感謝以外の言葉はない。試写会の日、科学部の一人は「新宿御苑(*)には足を向けて寝られない」と、ぽつんと言った。
『食の未来』と日本の現状
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